マカのグルコシノレートとは（マカの成分グルコシノレート）

マカの特殊成分、グルコシノレート

滋養強壮や精力増進で知られるマカには、マカ特有の栄養素がいくつか存在しています。
その一つが、グルコシノレートと呼ばれる栄養素です。
グルコシノレートは余り聞きなれない成分ですが、実は様々な研究により、WHO(世界保健機関)でもその有効性が認められているファイトケミカルです。
今回は、マカのグルコシノレートについてお話します。

※1　ファイトケミカルとは植物由来の化合物で、体には必ずしも必要ではないが、摂取すると体に良い効果をもたらす物質のこと。

グルコシノレートとは

グルコシノレートとは、キャベツやワサビなどアブラナ科の植物が含有する二次代謝産物の一つで、現在120種類ほど確認されています。
マカもアブラナ科の植物なので、グルコシノレートを含有しています。
グルコシノレートは硫黄と窒素を含む有機化合物で、水に可溶性の性質があります。

グルコシノレートはワサビの辛味の成分、と言った方が分かりやすいでしょう。
但し、グルコシノレート自身は辛くありません。
グルコシノレートは、グルコース（ブドウ糖）およびアミノ酸の誘導体として作用します。
そのため、グルコシノレートに熱を加えると分解されてグルコースになり、甘みを感じるようになります。

グルコシノレートは変化して殺菌・殺虫効果を発揮

グルコシノレートはそのままではあまり大きな役割を果たしません。
アブラナ科の植物には、ミロシン細胞と呼ばれる特殊な細胞があります。
その中に、ミロシナーゼという酵素があります。
アブラナ科の植物は体に傷を負うと、破損した細胞の中にあるグルコシノレートとミロシナーゼが反応して酵素活性を起こし
* イソチオシアネート　
* インドール
* ニトリル
* 硫黄
などが生産されます。

ワサビが辛いのは、このイソチオシアネートが原因です。
また、マカの粉末がやや苦いのも、このイソチオシノネートが要因です。
イソチオシアネートは非常に強い殺菌、殺虫効果があるので、アブラナ科の植物は傷ついた時に、傷口から雑菌や害虫が侵入するのを防ぐことができます。

グルコシノレートはファイトケミカル

実は、イソチオシアネート、インドールがファイトケミカルとして作用します。
ラットやマウスなどの実験で、膀胱ガン、乳ガン、大腸ガン、肝臓ガン、肺ガン、胃ガンなどのガン細胞を抑制し、がん細胞の細胞死（アポトーシス）を誘発する作用があることが示唆されています。
また、肝臓などにもたらされた発ガン性物質を不活性化し、体外に排泄する働きが確認されています。
抗菌、抗ウィルス、抗炎症作用があり、DNAの損傷を防ぐ効果もあります。

但し、それがこれらの成分が単独で作用するのか、他の成分と複合的に作用するのかは、いまだに研究段階です。

WHOも認めるグルコシノレートの有効性

グルコシノレートの状態だと効果を発揮しませんが、ミロシナーゼと反応してイソチオシアネートに変わると、ファイトケミカルとして様々な効果を発揮します。
しかし、グルコシノレートをイソチオシアネートにするには、余り熱を加えず、尚且つミロシナーゼの作用が必要です。
しかも、イソチオシアネートになると辛くなるので、食べるのが難しくなります。
しかし、腸内細菌の中にはミロシナーゼを持つものがあり、マカなどのアブラナ科の植物を摂取すれば、体内でイソチオシアネートが生産できます。

2004年、WHOのIARC（国際ガン研究機関）では、「アブラナ科の野菜に含まれる成分は、その仕組みや動物実験で発ガンを抑制する可能性がある」としています。
ただし、全体として他の野菜も同時に摂取した方が、より高いガン抑制効果があることも示唆しているので、アブラナ科の野菜ばかりを食べればよいわけではありません。

マカに含まれるのはベンジルグルコシノレート

グルコシノレートは様々な種類がありますが、マカのグルコシノレートはベンジルグルコシノレートと呼ばれる物質です。
マウスを使った実験では、マカのベンジルグルコシノレートでガンの抑制効果が示唆されています。
ベンジルグルコシノレートは、研究によってイソチオシアネートの効果以外に、糖新生※2、抗酸化作用、インスリンの発動などにも関与していると考えられています。
そのため、マカのベンジルグルコシノレートは他の栄養素と共に、性機能の改善、スタミナアップ、老化防止、成長ホルモンの分泌、肥満抑制などの効果を高めると考えられています。

※2　糖新生とは、血液の中にエネルギーとなるグルコース（ブドウ糖）が無くなった時、他の栄養素からグルコースを作ること。

まとめ

マカをはじめとしてアブラナ科の植物には、ファイトケミカルのグルコシノレートが存在します。
グルコシノレートは酵素と反応することで、イソチオシアネートやインドールなどの成分に変化します。
これらの物質は研究段階ですが、ガンの抑制や、発ガン物質の排泄などの効果が示唆され、WHOでも、その有効性が認められています。

マカは、特有のベンジルグルコシノレートを含有しています。
ベンジルグルコシノレートはイソチオシアネートの効果以外に、糖新生や抗酸化作用があるので、マカの滋養強壮や精力増強作用を高める物質として作用しますマカのグルコシノレートで、ぜひ健康的な体を手に入れてください。